けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 国広正「修羅場の経営責任」(文春新書):私の印象操作かもしれない。

読んだ。

今、明かされる「山一・長銀破綻」の真実 修羅場の経営責任 (文春新書)

今、明かされる「山一・長銀破綻」の真実 修羅場の経営責任 (文春新書)

2011年(平成23年)9月20日 第一刷発行。捨てる。
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年表がとても参考になった。ざっくりと引用する。

1997年11月3日(月):三洋証券破綻、山一株売りたたかれ短期の資金繰りに窮する事態
同年11月6日(木):ムーディーズ社「山一の格下げを検討する」旨を発表
同年11月19日(水):大蔵省証券局長「自主廃業を選択してもらいたい」
同年11月21日(金)ムーディーズ社、山一証券社債を投資不適格の最低ランクに引下げを発表
同年11月22日(土)日経新聞朝刊「山一自主廃業へ」の記事掲載
同年同日(土):臨時取締役会開催、ここで初めて野澤社長から経緯の説明が行はれる
同年11月23日(日):断続的に役員会合開催、野澤社長「あす自主廃業に向けて決議したいので承認をしていただきたい」
同年11月24日(月):臨時取締役会開催、自主廃業に向けた営業停止等が決議された
1997年年11月24日(月)野澤社長の記者会見
(太字化は引用者)

11月24日(月)は振替休日で株式市場は休場。野澤社長の記者会見は、有名な「野澤の号泣」だ。

野澤正平 - Wikipedia
自主廃業を発表する会見の場で野澤は、「みんな私ら(経営陣)が悪いんであって、社員は悪くありませんから! どうか社員に応援をしてやってください。優秀な社員がたくさんいます、よろしくお願い申し上げます、私達が悪いんです。社員は悪くございません」と男泣きに泣きながら社員をかばったことがテレビで大々的に放送されて注目された。
(太字化引用者)

いわゆる平成の玉音放送*1
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さて本書。*2著者は山一證券が破綻に至った経緯を調査し公表する委員会の外部委員に抜擢される。すなわち山一證券の簿外債務等の洗い出しを行い公表する立場である。ようするに山一旧経営陣とは対立する立場。
どうも嫌な臭いがする。引用ばかりで恐縮だが引用する。

私はもともと血の気が多い方で、やくざ者と渡り合うのが嫌いではなかったので、弁護士会でも「民暴委員会」に所属して(略)

「火中の栗をは拾う」のが私の信条なのである。

いずれについても、事実そうだったのかもしれない。臭うのはここからだ。
著者は社会から「売名弁護士」と糾弾される。本書は売名弁護士の烙印を払しょくするために本書を書いたのではないか?という思いが私の中で強くなった。これは、私の個人的な感想。
次。調査委員会の報告書が、公開前にマスコミにリークされたこと。著者が疑われる。それについての後日談。引用する。

(10年後の懇親会)菊野氏は陰に陽に支えてくれた薩摩隼人である。(略)「調査委員会の報告書を新聞がすっぱ抜いて大騒ぎになって、クニさん(注:著者のこと)が疑われたじゃろう?あれを出したのはワシなんじゃ」(略)「あの状況だったら(略)ワシを疑うもんは一人もおらんかった。ワッハッハ!」

薩摩隼人のワッハッハ。なぜ楽屋裏を公開するのだろう?とはいえ、本書そのものが楽屋裏の公開なのだか。
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そんな感じで嫌な臭いがぷんぷんする書籍という印象を持ちました。いや、もちろん各人が読んで同じ印象を受けるかはわかりません。とにもかくにも、新書の中の新書という感じ。

*1:個人的な感想。

*2:以下、引用部分を除いて本書に書かれている内容を私が咀嚼して書いた。また、本を開くのが面倒なのでニュアンス、あるいは事実と異なっている部分があるかもしれません。