けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 劇中劇の外側。でも桜の乱舞だけは現実だった。

私は負けず嫌いではないんだけど、人からは負けず嫌いだと言われるけど、実際は負けず嫌いなんだけど。
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けろやん。メモ :桜の舞う舞台を観に行った:私の舞台に謎が舞ったまま。
購入した劇中歌のCDを聴きながら、しつこく検討会を開催した。

マイ・ウィッシュ

マイ・ウィッシュ

以下、完全にメモ。読まないほうがいい。
まず、劇は倒除物であること。これは確定している。

取り調べかと思ったところで、術にかかった。

実は術にかかっていなかった。主人公は議員という設定。これも確定している。しかし、薄汚れたYシャーツ姿だったので、「取り調べ」の場面かと思った。正確には「取り調べ後」の精神鑑定。
倒除物。これはミステリ小説の常套句だが、ミステリの場合、犯行を犯した時点から遡るケースが多い。探偵や警部(コロンボ)が、伏線を指摘しながら*1犯人をじわじわと「心理」的に追い詰めていく。
ただし、今回の舞台は「心理」の遡りではない。単純に考えてみる。「現象」の遡り。
したがって、心理を遡って考えていくと迷宮入りする。まず「現象」ありきで考える。
これでだいぶ整理される。しかし、先に進むには、深層心理においては捉えられていた「劇中劇」を表出する作業が必要。深層を明確化すること。
劇の中の劇が何処なのか?単純に考えてみる。劇は何処「まで」なのか?
実は、ここが看過しえない重要なポイント。正統的には「まで」を考える。しかし、これを単純に考えてはならない。問題は「まで」ではなく「何処」。この点については後述。
「まで」を考えると山火事。そして、女性の叫び声。したがって、時系列上はここで完結しており冒頭の倒除に至る。これが、すなわち現象の遡り

どんちゃん三人組が演ずる何回目かのどんちゃん騒ぎが、大きなカギになっていると思う。三人組叫ぶ「ちんこ!ちんこ!ちんこ!そしてちんこ!」*1は何処の出来事なんだ?

現象を考えると単純で、主人公が起こした山火事で三人が死ぬまでが現実であり、頭の倒除に至る。これが現象面。
しかし、ここからが問題。「女」だ。常套句。犯罪の裏には女がいる。
「娼婦」。主人公は彼女を買う。彼女は冒頭の謎であるセーラー服姿の女の子の未来。
つまらないことだが、倒除の冒頭、すなわち時系列の最先(劇中の現在)に過去の彼女が出現するのは矛盾。しかし、これは演出、というかテーマの提示*2
話を戻す。彼女(娼婦)が登場することによって「現象」が崩壊する。彼女はどうして山火事の場にいたのか?いるはずのない人物が現象として登場する*3
このことが「3人組」の騒ぎが現象ではなく、主人公の妄想(心理)へ陥穽してしまう。舞台を見ている人間からみると、妄想へ陥入する。
すなわち、現象の遡り、そして倒除の完成という流れが断ち切られるのだ。物語は、語りの半ばにおいて、カタストロフを迎える。「女」という刃物が断ち切る。
たとえば、現象として捉えていた、

どんちゃん三人組が演ずる何回目かのどんちゃん騒ぎが、大きなカギになっていると思う。三人組叫ぶ「ちんこ!ちんこ!ちんこ!そしてちんこ!」*1は何処の出来事なんだ?

は主人公の妄想となる。「何処」の出来事なんだ?と考えていたのは、ある程度ではあるが的を射ていた。
ふたたび、時系列が分断される。「まで」ではなく、独立した「何処」が焦点となる。文字通り「線」ではなく「点」
1つの「点」を例示する。3人組が金をかき集めて、主人公の胸ポケットにねじりこむ。皺くちゃな札。そして「千円札」のバラ束。このリアリティすらも妄想の「点」なのかもしれない。
劇中劇を考えてみる。

実は、ここがポイント。正統的には「まで」を考える。しかし単純に考えてはならない。問題は「まで」ではなく「何処」。この点については後述。

上記、本エントリの内容を引用として再掲すること。劇中劇である*4。本作品(劇)の「何処」が劇中「劇」なのだろうか?
劇物」が現象、あるいは心理として散乱していて収束に向かわない。書き散らしたチラシの裏
検討会に参加していた脚本家の卵の女の子(女性か)がいみじくも述べた。

脚本の人が混乱してチラシが何枚か混ざっていたのじゃないかしら?

錯綜していた謎が氷解した。
すなわち「劇の中の劇」というオブジェクション(オブジェクトレベル)が、「劇を離れた書き手の錯乱」によってメタレベルに至ってしまったということ。
さらに難解にさせているのが、メタレベルへの過程が昇華というある種の意図性を辿ることなく、気体化(劇化)してしまったことだ。
さて。「ということ」「ことだ」。これは終止符なのか、あるいはQEDなのか?「なのか」。
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以上、現象とかオブジェクションとか難しいことを書いて、劇の中の劇の外側の外側(小説でいうところの神の視点)で、「私が」分裂して書いてきたのが本エントリ。
ホントはそんなことどうでもよくってさ。
舞台最後の桜の乱舞。死にたくなるほどに素敵で美しかった。このことだけは、まごうことなき眼前の現実だったことは間違いない。野暮天。

*1:通常のミステリは伏線の「回収」。

*2:しろうとの私も頷いた。

*3:関係ないけど、クリスティ「そして誰もいなくなった」。

*4:なのかしら?