けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 P・アルテ「赤い霧」(ハヤカワ・ミステリ):君の瞳があればよくて、霧の都はいらない。

赤い霧 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

赤い霧 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

釣り餌文句は、

霧の都を震撼させた連続娼婦殺人事件の真相

ということなのでけれども、小川にかかる橋や<黒鳥亭>という宿屋の描写から始まり、「霧の都」も「娼婦」も出てこない。謎の人物が古き良き田園地帯の村を訪れて、古き怪異を解き明かしつつ、ロマンスが順調に進行する。

・・・と、これは、大戦間期のミステリ黄金時代の定番の一つである「田園ミステリ」ではないか!と驚き、楽しく読み進めて行ったところで、第一部が終了。そして、釣り餌の「霧の都を震撼させた云々」が第二部になっている。

えーと、どうしようもない奈落の底を描いたミステリ。正直、どよーんな読後感であり、くたびれ果てて消耗してしまった。第一部だけで終われば、それなりにまとまっていて、「フランスのディクスン・カー」との呼び声が定着している著者の面目躍如だと思った。

第二部。これは、一体、なんなんだ?という構成面での不満もあるし、プロットとして、奈落の底を掘り進んで何処まで行くの?という、言葉は悪いけれども嫌悪感すら抱いた。

まあ、P・アルテは、本作以降に充実したミステリを書いている作家なので、たまには外しもアリかな、といった感じ。

■参考
過去に[感想文]で、P・アルテの他の著作について書いていたようだ。

http://d.hatena.ne.jp/kerodon/archive?word=%a5%a2%a5%eb%a5%c6