- 作者: 竹本健治
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2004/05/31
- メディア: 文庫
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表題は「将棋(略)」であるが、指将棋ではなく詰将棋をモチーフにしたミステリです。一見、脈略の無い多数の「事件」が発生して、それぞれの場面が短い章で、畳み掛けてきます。さながら、油絵をキャンバスの上下左右から、筆走りながら描き上げていく趣向かな。
ミステリの限界ということで、「脈略が無い」事件は、一つのモチーフに収束します。そうなんです。ミステリにおいては、様々な伏線を回収することが必要なのですね。詰将棋なら駒余り禁止みたいな。したがって、読者は、「何処かで繋がるはずだ!」というアドバンテージを持っているわけで、作者にとっては、いかに裏をかいて読者を嘆息させるかが、腕の見せ所なのですね。
さて、本作。物語最後の寄せは、難解長手の詰将棋で、序盤の変化(手の枝分かれですね)を乗り越えて、勢い良く詰めていく鋭さが感じられます。そして、雪降る夜の解決場面の温かさは気持ちの良いものです。しかし、それに続く物語のラストは、うーん。