けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 竹本健治「囲碁殺人事件」(創元推理文庫):駄目がポイント

囲碁殺人事件 (創元推理文庫)

囲碁殺人事件 (創元推理文庫)

「ゲーム三部作」の第一作目。ということで、

http://d.hatena.ne.jp/kerodon/20080408/1207606866

が第二作目なので、その前の話。といっても、単体で読める、というか、紛らわしいのだけれども、第二作目(将棋)から読んでも、支障はなかった。

で、本作「囲碁」。「将棋」に比べると極めて平凡、良く言えばミステリらしい物語。これが、第四*1の奇書とも呼ばれる「匣の中の失楽」という竹本のデビュー作に続いて書かれた作品*2とは、にわかに信じられない。

匣の中の失楽 (講談社ノベルス)

匣の中の失楽 (講談社ノベルス)

しかし、トリック等では、(古風あるいは王道的に)趣向を凝らしていることが、しっかりと伝わってくるし、登場人物の魅力も考え抜かれて描かれている。そして、囲碁に関する薀蓄が面白い。囲碁をやらない私でも、その面白さは伝わるし、ましてや囲碁をやっている人には垂涎の囲碁談義が展開されているかも知れない。

とりあえず、ミステリファンではないが、囲碁ファンである人にはお勧めの小説かな。そして、囲碁はやらないけれども、やりたいなあ、と思っている人には。私は、この小説を読んで、囲碁をやりたくなりました。でも、難しそうだなあ。

*1:三奇書は、「ドクラ・マグラ」、「黒死館殺人事件」、「虚無への供え物」

*2:有栖川有栖氏の解説を読んで、初めて知った。