田中森一「反転」：バブル世界の一断面

知人の弁護士くんに借りて読んだ。

反転―闇社会の守護神と呼ばれて

検事として特捜部に任官した後、「闇社会の守護神」と言われる弁護士に転進した著者のノンフィクション（？）。

前半は、「特捜のエース」として活躍した検事時代のエピソード。政財界からの圧力で事件解明が途中で中断されること。・・・ということは、市井の私でも、「それは、ありそうだぞ！」と思っていたのだけど、印象的だったのは、検察内部に、自然と沸き起こるメカニズムの構図（構造ではない）、体質というものが浮き彫りになっていたこと。

ひと頃、流行してライブドア事件なんかでも使われた「国策捜査」、それはそんなに単純なものではないなあ、と思った。

後半は、著者が弁護士として携わるイトマン事件などについての裏話的エピソードが記されている。関連本では触れられていない事実も書かれていて、今後の関連本では取り上げられそうな事柄もありそう。

全体としては、「バブル経済」をその前夜から、俯瞰した一つの物語といえるかもしれない。

ちなみに筆者は、昭和18年（1943年）生まれ。本書は、2007年6月25日初版第一刷。