けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 笠井潔「天啓の宴」:メタ小説の中のメタ小説

天啓の宴 (創元推理文庫)

天啓の宴 (創元推理文庫)

しばらく前に読了。「おっと、笠井潔さんの文庫書き下ろしの新作かな!」と喜んで飛びついたが、読了後、知人に聞いたところ、久しく絶版になっていたのが文庫化されたものとのこと。

「メタ」という言葉が相応しい「メタ小説」になっている。幾重にも絡まる、というか折り重なる海苔弁当を思わせる構成。60年代末期の学生運動から、1995年の某重大事件への連なりも面白い。

そして、主要な舞台の一つが、笠井氏が居住していると聞いた八ヶ岳山麓であり、この点でも個人的にツボに嵌った。

ちなみに本作は「天啓シリーズ」の第一作目であり、二作目は単行本として出版されているが、現在、絶版中。そして、第三作目に至っては、雑誌連載が終了したものの、単行本化すらされていないとのこと。