読んだ。
- 作者: 和田竜
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/05/01
- メディア: 単行本
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いまのところだけど今年一番の収穫。
天正伊賀の乱を舞台にした小説であるが、時々に古い資料からの引用が挿入されていてうれしい。
しかし本書の白眉は脱力した会話あるいは自問にある。少しだけ例をあげてみよう。続きの会話ではなく別々の個所を引用。
「あーあーあ、こらこら」「んなことできるわけねえよ」「逃げようかな」
ある意味、殺伐としたストーリーの中で引用されるちゃらけた言葉。著者は若い人かしら?と思っていたんだけど、先日テレビに登場しているのをみたらおっさんだった。
その映像では、大量の書きものを抱えている姿が映し出されたのだけど、実際に作品に仕上げるときには、削りに削って仕上げるとのこと。これが作品を物すということかな?って感銘を受けた。
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伊賀国(正確には「国」ではないと思うのだが)については、小学生の時に白戸三平の「ワタリ」を読んだときの印象が強く残っている。これについては、いずれ書きます。というか書きあげています。
「天正伊賀の乱。これについても勉強中なんだけど歴史の不思議な位置付けにとつくづく思う。これについても書きあげ済みです。
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さて「忍びの城」に戻る。
忍者の話である。しかし、わたしたちが脊髄反射的に思い浮かべる、いわゆる忍者の活劇小説ではない。心理小説である。
もちろん手裏剣が飛び交う。土遁の術なんかも登場する。しかし肝は、これこそが忍「法」という心理を中心としてプロットが構成され物語が進む。このあたり、巷間溢れかえっているビジネス本なんかは捨ててしまえ!って本当に思う。
とにかく心理を土俵にして突っ走しり一息に読んでしまう「徹夜本」である。