けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 S・ウォルヴン「北東の大地、逃亡の西」

北東の大地、逃亡の西 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1806)

北東の大地、逃亡の西 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1806)

昨年末に読み始めて、超弩級の衝撃を受けながら、昨日、ようやく読了。すったもんだしたのは、

http://d.hatena.ne.jp/kerodon/20071226/1198662876

プレゼントになりそうなものは無かったのですが、読みかけの本をプレゼント台にソロリと置いて誤魔化しました。ハードボイルド系統の短編集。あと二話で読み終えるところだったのですが、仕様が無い。

というわけ。買い直して読み切りました。将来、必ず読み返すであろう本だと思うからね。

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邦題は、著者のデビュー作品集に似合わない満艦飾で、「おいおい・・・」だが、原題は「CONTROLLED BURN」。所収された一編の題名から取られている。*1舞台はアメリカの大地。

話は、連続物の短編もあるが、ほとんどが独立した作品。しかし、それぞれの作品に通じるのは、追い詰められた人間像。上手く書けないが、少なくとも
きらびやかな議論が交差する大統領選挙のアメリカではない。

なにしろ小道具が、チェーンソー、ガソリン、ケブラー繊維、ピックアップ・トラックetc.なワイルドな世界なのだ。引用してみよう。

「これからおれが言うことをよく覚えておいてくれ。負け犬を追うのはあんたの勝手だ。だが、そういうやつは信用しない。おれから見れば、あんたがやっていることは仕事じゃない」

本作品集を表現するのに適切な箇所か、さっぱり自信がないが、つまりそういうこと。底辺の底辺の底辺の人間(それは自らが招いたこともあるし、あるいは違う場合もある)が彩る小説集。

*1:邦題は「野焼き」。