荻窪で友人と会った。
ふりかえって考えてみると荻窪こそ私を堕落せしめる導火線であった（後述）。
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けろやん。メモ：１７１円の喜び、あるいは憂鬱
今年の目標として物を減らすこと、すなわち断捨離（って知らんけど）みたいなことをブツブツと考えている。
ということで電子辞書を友人に譲った。カラー化で巻き返し、あるいは攻勢でシェアを万全とすべきカシオ最後のモノクロもの。当時の私は2chの電子辞書板を覗いているような馬鹿になっていた。
また、そのときの私は極めて躁たる状態であり、「画期的なコンテンツを要するカシオのフラッグシップ機が出る！」という2chの熱い声に押されて、発売当日にヨドバシに走り購入してしまった。頭が飛んでいたね*1。
しかし、購入したもののフラッグシップの旗が無風の中で微塵たりとも動かない。私には使いこなせなかった。要するに無用の長物。さらに、翌年には、先に述べたようにカシオはカラー化で勝負に出ていた。もちろんフラッグシップ機もカラー化。
カシオ 電子辞書 エクスワード プロフェッショナルモデル 170コンテンツ・2000文学作品・クラシック1000フレーズ XD-D10000
- 出版社/メーカー: カシオ
- 発売日: 2012/01/24
- メディア: Personal Computers
- 購入: 3人 クリック: 39回
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ということで、使いこなせなく無用の長物と化していたものを「彼は仕事で使うだろうな」と思う友人に譲った。それにしても彼は電子辞書のカラー化も知らず、骨董品的な電子辞書（多分）を使っているようで驚いた。
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蕎麦を食った。蕎麦は美味かった。というか私は味音痴なので、魚とラーメン以外の味はどうでも良い人間*3だけど。
しかし、この蕎麦屋のコンセプトには首を傾げてしまった。駅から徒歩10分くらいなんだけど、大きな駐車場を有して誘導員までいる。店に行き着く道路は狭く唸っている。車でやってくるのにはとても勇気がいると思う。
蕎麦。千円弱の手ごろな値段に設定。風雅な坪庭まであり、風情を出している。しかし、近くをひっきりなしに走る電車の音が風雅も風情も台無しにしていた。結局、駐車場からは地方都市の店を感じて、でも坪庭で洒落た店を演出しているようなちぐはぐな感じだなって思った。
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荻窪。中央線文化の中心である。喫茶店に行った。
もの凄くレトロな異界。
私の斜め後ろに座っていた男女。スピリチュアルな町ならではのスピリッツな勧誘話をしているのかと思ったら、人生相談話だった*4。女性の声は山の手言葉で心地良く耳に響く。
しかし、彼らを直視できる位置にいた友人曰く「人生相談が佳境に入ると男が女性を触りまくっていた」。よくわからないけれどもスピリッツアル。
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堕落。友人と別れた後に車窓から見える煙に誘われて西荻窪で降車。煙は焼き鳥屋からもうもうと発せられている。禁酒してまだ三日目。言い訳はしないが、三日目が一つの山なんだそうだ。私は山を越えられなかった。
西荻窪。中央線文化の大本山。とくに南口はディープ・サウスと呼ばれることもある。もちろん本場、アメリカのデルタ地方のディープの足元にも及ばないけれども、中央線文化のディーピング・スポットとして有名だ（と思う）。
さて、ウナギの寝床の店内の汚いスタンドに腰を下ろし瓶ビールを頼んだ。大瓶で登場。５００ミリリットル瓶ではなく、腕が疲れる大瓶。煙とタレで煮染めたテーブルにどん！と置かれた。
焼鳥とハツを食べながら店の内外を見回してみると、店外に置かれたビールケースに３人が座って、顔を赤らめて幸せそうに歓談していた。六本木や銀座では、おそらく観られないであろう幸せ。
すこし若手の兄ちゃんが「会計してください」店員「420円になります」おい！１コインかよ！部屋で飲むより安いんじゃね？彼は小銭を握って町に消えていった。
彼が抜けたビールケースに新たなる人が座った。真っ白な背広の上下にまだら模様のネクタイ姿。煙中にて汚れるのを構わずに横の人間と親しく話している「おれたち３人だから、サンマでも貰おうかな！えへへへへ」
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もう飽きてきたけど、最後に一つ。
店内の汚いスタンドに若い女性がひとりたたずんでいた。眼前には大ジョッキのビール。彼女は本（資格試験物みたいな感じ）を読みながら、焼き鳥をくちばしで食いちぎり（いや上品な食べ方だったけど）、ジョッキをかかげ飲む。
こんなところで、はたして勉強になるのかな？とエラソウに思ったけれども、こういう女性って好きだな。阿片窟みたいなところに一人で入り、煙と喧騒の中で大ジョッキを傾ける女性。すてきだったなあ。
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世の中は不景気だと言われているけど、町の灯は決して消えていないと思った。
