けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 D・フランシス「再起」

再起 (ハヤカワ・ノヴェルズ)六年の沈黙を破って放たれたD・フランシスの最新作である。ちなみに翻訳者は、菊池光氏ではなく、北野寿美枝氏となっており、不思議に思われる読者がいるかもしれない。菊池氏は、2006年に他界されており、ライフワークとも言えるフランシスの訳業に最後まで携わることが出来なかったのだ。さぞかし無念であっただろう。

さて、「再起」である。原題は「UNDER ORDER」。ここに翻訳の妙がある。かの名作映画「明日に向かって撃て!」の原題と邦訳を比べてみて欲しい。そして、この”再起”という邦題には、トリプル・ミーニングが施されている。それが妙なる所以である。

まずは、六年ぶりの作者フランシスの再起。そして、物語中における主人公シッド*1が別れた妻と精神的和解を遂げるという意味での再起。そして、最後の再起とは・・・。これは読んでのお楽しみである。物語の最後の最後で明かされる。

本書を最後まで読まれたときに、上記に掲げたカバー装丁を見直して欲しい。本書では、カバーも大きな意味を持っているのだ。そして、カバーを外して見ると・・・。ここでも、ちょっとしたお楽しみがある。

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「再起」という言葉。本ブログを読んでいる全ての人にじっくりと考えて欲しい。七転八倒も七転び八起きも生きていなければ、当然のことながら出来ないよ。再起も。

*1:本書は、かのシッド・ハレー、四回目の登場物でもある。