けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 中場利一「岸和田少年愚連隊」「岸和田少年愚連隊〜血煙純情編」:家事手伝いの物語。

読んだ。

岸和田少年愚連隊 (講談社文庫)

岸和田少年愚連隊 (講談社文庫)

読んだ。
岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇 (集英社文庫)

岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇 (集英社文庫)

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著者は「本の雑誌」の読者投稿欄に職業「家事手伝い」で投稿していて、おもしろいからかしばしば採用されていた。読んでいる私にもおもしろかった。投稿欄の経緯から「本の雑誌」の編集者に一年くらいの特訓を受けて、誕生したのが上記本。
個人的には、古本屋で購入していて「本の雑誌」を読んでいて、あの家事手伝いさんが小説を書いたんだ、ということで購入していた。高田馬場の本屋で定価本。うーん、どうやって金を捻出し購入していたのだろう?
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感想。金はともかくなんで購入していたのだろう?たしかに投稿者時代の面白さに磨きをかけて吹き出す箇所もある。たくさんある。だから購入していたのかな?
さて一冊目のデビュー作。内容をまったく覚えていなかった。怖ろしいほどに記憶に残っていない。だから楽しめたといえばそうなのだが、四十路に入った私には辛いものがあった。主人公たちが未成年だから?それももちろんあると思うけど、正直、言葉にできない。
さて、分けわからないことを書いているのだけど、一冊目のウルトラマンのエピソードは読んでいるうちに思い出した。思い出したけど、声を出して笑いながら泣いた。こういうところが上手いんだよなあ。えらそうな言い方だけど。
二作目。ユウジが登場するだけでラストシーンを鮮明に思い出した。初読のときに大泣きしたと思う。あるいは涙も出なかったのか。とにかく胸が苦しくなったことだけは事実。
今回は文庫本を読んだので、「あとがきのあとがき」が掲載されている。単行本のあとがきに加えて、文庫本化に際して書き加えられたものだろう。引用する。

窒息死寸前でユウジは怒り、やがて笑う。「前は死ぬことばっかり考えてたのに、今はオマエらのおかげで毎日楽しいねん。もう死ぬなんて言わへんで」その言葉を聞いて一週間後、ユウジは一人で逝った。

あとがきなのに、なんてキザなんだ。そう思う人が大部分だと思うけれども、この言葉と物語本編を重ね合わせるとキザじゃなくなる(と思う)。本編で泣き、あとがきで知り、本編に戻り泣く。
それにしても、この小説って実話なの?
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購入は薦めない。でも図書館に置いてあったら読んでも損はないと思う。軽く読み流すことも可能だと思うしね。