狂人の部屋 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1801 ツイスト博士シリーズ)
- 作者: ポール・アルテ,平岡敦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/06/15
- メディア: 新書
- クリック: 8回
- この商品を含むブログ (41件) を見る
本作。これは、フランスかなんか知らんが、ディクスン・カー節が満載で、ビックリの傑作だ。なによりも、いままでのアルテ作品に特徴的であった「メタ仕様」が抑えられていること。序盤の怪奇、そしてロマンスは秀逸。ロマンスは、ディクスン・カーを語る上で忘れることが無い要素なんだよ。そして、なによりも中盤の怪奇性の加速が素晴らしい。
で、終盤の「生涯の仇敵」を思わせる手法による混沌性の高純度化。私は、ここに参ってしまった。ミステリを読む上で参ってしまうというのは、迷うことの快楽。正直、犯人なんか、とっくのとうに分っていた(あてずっぽうに近いけれどもね・・・)。でも、そんな私の「フー・ダニット解決!ヤッホー!!」を打ち砕くようなカタストロフ、というか私のカタルシス。
次作のアルテに期待だ!
■付記
「生涯の仇敵」については、
での話ですが、「「生涯の仇敵」とは、なんぞや?ということは、これまた近いうちに書きましょう。」と、書いておきながら放置していますが、そのうち書きたいな。