けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 P・アルテ「狂人の部屋」(ハヤカワポケットミステリ)

著者は、「第四の扉」の邦訳に際しての紹介で、「フランスのディクスン・カー登場!!」と煽られながら、煽り負けずに人気を博した。しかし、私はその踊り文句に納得が行かず、せいぜい「フランスのテクヤン。・カー登場!!」くらいに思っていたのだけれども・・・。

本作。これは、フランスかなんか知らんが、ディクスン・カー節が満載で、ビックリの傑作だ。なによりも、いままでのアルテ作品に特徴的であった「メタ仕様」が抑えられていること。序盤の怪奇、そしてロマンスは秀逸。ロマンスは、ディクスン・カーを語る上で忘れることが無い要素なんだよ。そして、なによりも中盤の怪奇性の加速が素晴らしい。

で、終盤の「生涯の仇敵」を思わせる手法による混沌性の高純度化。私は、ここに参ってしまった。ミステリを読む上で参ってしまうというのは、迷うことの快楽。正直、犯人なんか、とっくのとうに分っていた(あてずっぽうに近いけれどもね・・・)。でも、そんな私の「フー・ダニット解決!ヤッホー!!」を打ち砕くようなカタストロフ、というか私のカタルシス

次作のアルテに期待だ!

■付記
「生涯の仇敵」については、

http://d.hatena.ne.jp/kerodon/20080106/1199599166

での話ですが、「「生涯の仇敵」とは、なんぞや?ということは、これまた近いうちに書きましょう。」と、書いておきながら放置していますが、そのうち書きたいな。