しばらく前に読んだ。
- 作者: 川崎大助
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/08/20
- メディア: 新書
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1.はっぴいえんど『風街ろまん』
- アーティスト: はっぴいえんど
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2009/02/18
- メディア: CD
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- アーティスト: RCサクセション
- 出版社/メーカー: USMジャパン
- 発売日: 2005/11/23
- メディア: CD
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- アーティスト: THE BLUE HEARTS
- 出版社/メーカー: トライエム
- 発売日: 1987/05/21
- メディア: CD
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さて本書はそんな話なのかというとそうではない。そんな話というのは、賛成とか満足とかそういう視点で語る話。すなわちリストアップの尺度は賛成とか満足とかではない(と書いてある)ということ。
では何か?
はっぴいえんどが堂々の一位になってるでしょ?そうです、そうです、あれなんです。日本語ロック。出たよ、伝家の宝刀。疲れちゃうよね?ということでリストアップについてのくだりを引用してみましょう。
p.29 そして五番目、最後の指標が「影響度」だ。これは同時代的に、あるいは後進に、どれほどの影響を「肯定的な意味で」与えることができたかを問う。(中略)ファンやミュージシャンへの影響だけではなく、社会的に、文化風俗的に、その一枚が与えた影響を観察し、指標化した。
ということで、必然的に導き出されるは、日本語ロックを開拓したはっぴいえんどがご降臨。
正直、日本語ロックとかもうやめにしない?そういう公式とか方程式で結びつけるのはっていう暗澹たる気分になってくる。ここでは深くは追求しないけど(能力的にできないけど・・・)、ロックは4とか2とかの偶数拍であり、それはそもそも農耕民族的日本にはマッチしたリズムであり、騎馬民族系のポルカとかワルツとかな奇数拍ではないので、日本語を乗せるのってそんなに難しいことではないんじゃないの?これ参考文献。
けろやん。メモ-アフィってリズム
さて、頭を冷やして。
私の思っている日本語ロックにおける日本語というのは、ロック音楽に乗せるという意味での日本語ではありません。そのようなある意味日本古来の言葉遊び的な技巧ではなく、思いを乗せた日本語を「歌う」という原始的なほとばしりのことです。
かくなる日本語ロックを頭に浮かべて、先のベスト3を振り返ってみるとどうでしょうか?3のザ・ブルーハーツが導出されるのは必然であり、そこにあるのはあからさまな「歴史」なのです。ということが書かれている箇所を引用してみましょう。二部構成の第二部からです。
p.246(小見出しは「ブルーハーツの日本語ロック」)英米のパンク・ロック、パブ・ロックなどに造詣が深いヴォーカルの甲本ヒロト、ギターの真島昌利は、言うなればちょうど、はっぴいえんどと忌野清志郎、その双方の影響を正しく継承しながら、新しい世代に向けての「日本語ロック」を創造することに成功していた。はっぴいえんどの「8ビート認識」の基本は一拍二音だったのだが、ブルーハーツは一拍一音なども織り交ぜながらーつまり緩急自在のー「親しみやすい」口調のロック・ソングを生み出した。(中略)こんな手応えの「日本語の歌」と、威勢のいいパンク・ロックを合体させたバンドはそれまでにいなかった。
若干、私の思いと離れていますが、括弧つきで強調されていますね。そうロック云々は横において、話は日本語の歌ということなんです。まあロジックもくそもめちゃめちゃな私の文章なんだけど、そしてその文章はザ・ブルーハーツから逆算して書いた、ある意味卑怯な技巧を弄したものなんだけど・・・。
えっと確認のために書いておくと、ここであげているザ・ブルーハーツというのは『ザ・ブルーハーツ』のこと。バンド名じゃなくてアルバムのことね。流れとしてのザ・ブルーハーツではなく、定点としての『ザ・ブルーハーツ』のことです。
そんなわけでぐちゃぐちゃになっちゃったけど、とても感じのいい本でした。
(注)日本語ロック=はっぴいえんどがボロカスみたいに書いてしまったんだけど、そうなったのは選ばれたアルバムが『はっぴいえんど』ではなく『風街ろまん』だったことが深層心理にあったからだと思います。日本語ロック=はっぴいえんど(=『風街ろまん』)という透けて見える定式が嫌だったということです。