けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 奥信濃に行ってきた(1):降雪なかりせば枯れ木。


先日、母を連れて旅行に行ってきた。
行き先は信濃の国の最奥部。曇っていたので車窓から遠く望む雪の山々が観れなくて残念。途中から雪に変わって寒かったし。
車窓から山々の見えない外を眺めていると「ああ、こんなところに住んでいる人がたくさんいるんだなあ」とか失礼なことが頭に浮かんだ。
失礼ついでに目についたのは、真新しい家々が立ち並んでいること。驚いた。宿の兄さん(送迎の運転手専門さん?)に聞いたら「Iターンの人が多いみたいですよ」とのこと。私はIターンという言葉の意味することが分からなかったので、再度問いかけた。
兄さん「都会から流れてくる人ですよ」私「仕事は何をやっているんですか?やっぱり農業ですか?」兄さん「いや区画整理で田んぼを売り払った跡地に新しい家が建っているからちがうんじゃないですかね?」。
兄さん続ける。「やってくる人は人間関係が嫌でやってくる人も多いですね」。この「人間関係が嫌で」というのは、在所に居られなくなって流れてくるというニュアンスが入っていた。
宿に着くと雪がだいぶ積り始めて寒くなった。一応、名所であるという光前寺というところへ、てくてく歩いて行ってきた。
*1
この寺は、しだれ桜と光苔けと庭園が有名なところ。でも桜も苔も時期外れということで何にもなし。ましてやしだれ桜については、ただの枯れ木な世界にちがいない。当日降り始めた雪の景色が救い。危ないところだったというか幸いだった。
寺はしょぼかった。後から調べてみたら、焼失→再建→焼失→再建という歴史があるそうな。水がないので焼けると全焼してしまって跡形も(大袈裟かな)なくなってしまうらしい。したがって、失礼だけど仏閣としては歴史がない。
季節に関係のない庭園。雪景色の庭園。ところが寺の兄さんが水を差す。兄さん「庭園を回るのではなく座敷から眺めるだけですよ」
私「どんな感じなんですか?」兄さん「ああ、(周りを見渡して)ここと同じですよ。ただの雪景色ですよ」。おまえやる気ないだろ?入るのやめた。
結局、私たち二人しか居なかった寺。雪があまりにも強くなってきたので母を宿に送り、私一人で古民家に行った。遭難しそうになるほど足の爪先が寒い*2



民家の入口をまたぐと同時に、置いてあったラジカセから民家の由来が滔々と流れ出した。*3人が侵入(見学)するとナレーションが始まるのね。興ざめだったけどちょっとおもしろかった。
興ざめもなにも関係なく、民家内部の情景はすばらしかった。
下男下女が寝起きしていたという窓のない小さな畳の三畳間。日が当らないので畳がじめじめしている感じ。でも、こういうところで寝起きしたいなあ。狭いところが好きなんだ。
そして私は仏閣よりも生活の場が好きなんだとあらためて思った。
−−−
宿はすばらしかった。こんなに高価な宿に泊まったのは、ほとんど初めて。用意しておいた心付けを渡そうとしたけどタイミングを逸した。まあ、そういう古風な旅館でもなかったな。
夕食は懐石料理みたいなのがちょぼちょぼ小出しに出てきた。懐石嫌いな私なんだけど美味かった。日本酒嫌いな私なんだけど十年以上ぶりに飲む熱燗に身体が温まった。でも小出しの料理に釣られてちょこちょこと飲んでしまい飲みすぎ。
肉とかも出てきて腹がおきた。中でも茶碗蒸しが美味くて、なんの出汁を使っているんだろう?ってへんなところが気になったんだけど、とにかく美味かった。茶碗蒸しフェチな私なんだけど、今まで食った中で一番を競う美味さだったぞ。
木の国。食台も含めて、宿のあちこちには一枚板がふんだんに使われていた。なんの役目を果たすのか分からないけど、厚み10センチ以上の板がなんかも唐突に出現。

温泉。宿には部屋に温泉風呂が付いているコース(?)があるんだけど、私たちの部屋には風呂が付いていない。すなわちみんなが部屋風呂を堪能しているので、大浴場なんかにはやってこないの貸し切り状態。
大浴場等では誰とも遭遇しなかった。こりゃいいわ。
湯質は私の好みの身体が痺れるようなものではなく、所謂「つるつるするわね!」系。つるつるも気持ち良かったけど、つるつるにやられて髪の毛が柔く細くなった気がした。漬かり過ぎると禿げてしまいそうだ。

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旅行中、母が一番堪能したのはたぶんこの宿だったと思う。
(続く)

*1:冒頭の写真も光前寺。

*2:着衣はしっかりと準備していたんだけど、スニーカーでは辛かったな。靴下は二枚重ねにしていたけれども。

*3:よく見ていなかったけど、今から考えるとテープレコーダー搭載物みたいだったぞ。