読んだ。
- 作者: 小川仁志
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2011/11/03
- メディア: 文庫
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さておき、ネットおよび現実世界の人々におかれては、私がたくさんの本を読んでいると思っている人々がいるかもしれない(もしかしたら・・・)。でも、私はあんまり本を読まないし読めない。
ドストエフスキーは読んだけど*1、トルストイは読んでいない*2。ニーチェは読めなかったけど、西田幾多郎も読めなかった。そんなわけで本書を手に取った次第。
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さて、本書。内容はともかく著者の来歴が興味深くかつ素晴らしい。「はじめに」より内容を咀嚼して引用。
(法学部に進んだ理由として)倫理の授業で習った哲学用語に拒否反応。その結果サラリーマンになり中国で人生を考え直した。以来、約4年間のフリーター生活を送る。30歳で市役所に再就職。結局、大学院で哲学を学び始め、ようやく哲学の世界に入ることになった。
()内、および太字化は引用者、以下同)
という異色の経歴(来歴)だ。本書を読んで一番感銘を受けたのは、「はじめに」における上記引用箇所。ということで、p.5で読むのをやめても収穫があるよ。
とりあえず、読み進んでいこう!見開き2ページで「用語」「超訳」「用例」が書かれていて、さらに関係のある哲学者あるいは思想家たちが紹介されている。一つ例をあげてみよう。
ルサンチマン
「超訳」負け惜しみ
「用例」自分が大手の会社に入れなかったからといって、「あんな会社はよくない」と理屈の通らない非難するのは、ルサンチマンだね。
スポンタさんといえばルサンチマン。ルサンチマンといえばスポンタさん。という定説があったけど、これを読むとスポンタさんといえばルサンチマンといえばスポンタさんではない気がする。私は、以前からこの言説に違和感を抱いていた。まあ、極めて局所的にだけどね。
スポンタ通信2.2(http://sponta.seesaa.net/)。なぜか、最終更新日が、2013年04月28日という中途半端な未来になっているのがスポンタ2.2。
さて、ルサンチマンは横に置いて。「用例」については、著者が「日常生活で使うと嫌われる恐れがあるのでご注意を」とのこと。私は嫌われたくってね!という人向きに、用例をいくつか紹介してみよう。
いまの社会で生み出されているものはもうコピーのコピーといっていい。シミュラークルだよ。
芸術は現実のミーメーシスなのだろうか。それとも現実を超越した別の新しい存在なのだろうか。
とまあ、「超訳」を跳躍しちゃっているのがおもしろい。しかし、先に述べたように用語に関連する哲学者たちが紹介されているので、いろいろと先に向かって勉強することができると思うよ。私も先に向かって勉強だ。