けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 黒井勇人「ブラック会社(ry」(新潮文庫)〜物語再考

ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない (新潮文庫)

ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない (新潮文庫)

一昨日、読了。読了というよりも見終えた、という感じかな。と書くと、本書を馬鹿にしているようだけれども、全然、そういう意味を付与しているわけではないのだよ。グイグイ読んで、読み終えてしまったよ、ということかな。

さて、先日も書いたが、2chスレッドの抜粋本。ただし、回想形式のため、筆者は他者のレスに影響されずに行動する。その点において進行形の「電車男」と異なり、閉じられた、いわば伝統的な物語形式を踏襲している。

さらに、形式としての物語であるのみならず、筆者が紐解くように紡ぎだす「物語」は秀逸であり、読者は引き込まれずには居られない。恥ずかしながら、私は落涙してしまったよ。

レスを交えての本のため、筆者の語りは分量的には少ない。しかし、浮かび上がる人物像、そして目の前で動いているかのような物語の推移は、非常に滑らかであり、魅力的である。

物語ってなんだろうな?と考えさせられる本書です。