- 作者: 三津田信三,村田修
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2008/04/21
- メディア: 単行本
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本作は、
で書いた本で、一躍、脚光を浴びた著者の書き下ろしで、著者としては大きなプレッシャーがあったと思う。分類すると、「童歌連続殺人」モノ。ということで、怪異が全篇を覆い尽くしているのは定石としても、密室も絡めたり、盛りだくさん。
しかし、本作の肝は、なんといっても伏線回収の凄まじさ。「伏線を回収する」ということは、伏線を散りばめるということが前提で(当たり前だけど)、その辺りの大胆さに驚いた。
まあ、驚き、恍惚感というような感情は、伏線が回収された、すなわち、事件が終わって、本を閉じた時なんだけど。次作を読むときは、目を皿のようにして読もう。
あと、「童歌」モノにありがちな動機が強引という面もクリアしている。異質な被害者に対する動機は、特筆に価する。ネタバレだから書けないけれど。そして、被害者の事件前の不可解な行動も蓋を開けたら、極めて自然なものであり、「なるほどね!」って膝を打った。
難点は、基礎となる大仕掛けが、どうも現実性に欠けているように思えるところ。
なにはともあれ、E・クイーンばりの「ある意味」フーダニットも、伏線を辿ると楽しめるので、お勧めのミステリです。
参考: