「満州帝国」がよくわかる本 なぜ築かれたのか、どんな国家だったのか (PHP文庫)
- 作者: 太平洋戦争研究会
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2004/12/02
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あと「満州帝国」と表裏一体でもあった関東軍についても、「満州帝国」に関する部分においては詳述されている。例えば、日米開戦(1941年)以後、関東軍はどのように行動していたのか?というような忘れがちな歴史もわかる。
ただし、関東軍がメインの書ではないので、例えば関東軍の成立前史のような部分は、軽く触れられている程度。関東軍については、島田俊彦「関東軍〜在満陸軍の独走」(中公新書)が入門書かな。で、「はまぞう」くんしてみたら、
- 作者: 島田俊彦
- 出版社/メーカー: 講談社
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話を戻して、表題の本。経済史的にトリビアというか興味深い記述がありました。引用してみましょう。
すなわち、犬養内閣が成立した12月13日のその日、新内閣は金輸出再禁止を施行した。これで、財閥は巨額な富を得たのである。(p.210)
ここまでは、中学や高校の歴史で学ぶことですが、
そして、その既約定解け合い(じっさいに円を支払って清算すること)を12月15日と定めた。つまり、その日までに金輸出再禁止がおこなわれなければ、ドル買い側(財閥側:引用者注)はまったく利益をあげることができない。
ところが、先に触れたように若槻内閣は12月11日、閣内不一致で総辞職、13日成立した犬養内閣は高橋是清蔵相の指揮で即日、金輸出再禁止を実施した。まことに微妙なタイミングで財閥はドル買いによる巨利をつかんだのである。
1931年(昭和6年)の12月15日までの政財界の攻防は凄かったんだろうと想像されます。
そして、金輸出再禁止を「微妙なタイミング」で実施した犬養首相と高橋蔵相は、いずれも暗殺される。犬養首相は五・一五事件、高橋蔵相は二・二六事件で・・・。