けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 「「満州帝国」がよくわかる本」(太平洋戦争研究会)

満州帝国」史が網羅されていて、非常に面白かった。船戸与一の「満州国演義」シリーズ(現在3巻まで刊行されていて、まだまだ続くよ!)を読む際の副読本に最適。本書p.19に掲載されている「1931年(昭和6年)の満州」という地図だけでも船戸本の面白さが倍増しそう。

あと「満州帝国」と表裏一体でもあった関東軍についても、「満州帝国」に関する部分においては詳述されている。例えば、日米開戦(1941年)以後、関東軍はどのように行動していたのか?というような忘れがちな歴史もわかる。

ただし、関東軍がメインの書ではないので、例えば関東軍の成立前史のような部分は、軽く触れられている程度。関東軍については、島田俊彦関東軍〜在満陸軍の独走」(中公新書)が入門書かな。で、「はまぞう」くんしてみたら、

関東軍 (講談社学術文庫)

関東軍 (講談社学術文庫)

が、出てきたけど、改訂版かな?なにしろ中公新書の方は昭和40年刊行だし。

話を戻して、表題の本。経済史的にトリビアというか興味深い記述がありました。引用してみましょう。

すなわち、犬養内閣が成立した12月13日のその日、新内閣は金輸出再禁止を施行した。これで、財閥は巨額な富を得たのである。(p.210)

ここまでは、中学や高校の歴史で学ぶことですが、

そして、その既約定解け合い(じっさいに円を支払って清算すること)を12月15日と定めた。つまり、その日までに金輸出再禁止がおこなわれなければ、ドル買い側(財閥側:引用者注)はまったく利益をあげることができない。
ところが、先に触れたように若槻内閣は12月11日、閣内不一致で総辞職、13日成立した犬養内閣は高橋是清蔵相の指揮で即日、金輸出再禁止を実施した。まことに微妙なタイミングで財閥はドル買いによる巨利をつかんだのである。

1931年(昭和6年)の12月15日までの政財界の攻防は凄かったんだろうと想像されます。

そして、金輸出再禁止を「微妙なタイミング」で実施した犬養首相と高橋蔵相は、いずれも暗殺される。犬養首相は五・一五事件、高橋蔵相は二・二六事件で・・・。

■参考
犬養毅(wikipedia)
高橋是清(wikipedia)