が、あんまりに投げやりな[感想文]だったので、少し補足をしてみよう。
その逸話は、非常に現代的、というか、とても身近なものに感じられ、正直、怖ろしい。
と書いたけれど、これはプロローグに限らず、本書全体を通して感じられること。p.292から引用してみましょう(ちょっと長いです)。
「わたしは、みずからを助けようと努力するものを助ける。タロイド*1たちのレベルはまだ低いが、知識と技術の価値というものを知っている。そして学びたがっている。進んで勉強しようという意欲を示している。だが人間たちはどうだ?ちぇっ!長年のあいだ積み上げられた発見と英知の枠である図書館や大学や教師に取り巻かれて育ちながら、何の興味も示そうとしない。無為な生活のほうが好きなんだ。(略)」
「彼らに考えることを教えてやりさえすればいいのだ」(略)
「馬を水辺に連れていくのと同じさ。大衆は、考える気になれば考えるだろうよ。だが、せきたててみても無駄だ。できるのはただ、水のある場所を教えて、かれらののどが乾くのを待つことだけさ」*2
(太字化と脚注化は引用者)
どうでしょう?なんだが現在の状況と似ていると思いませんか?悲観主義に過ぎるのかもしれませんが。学ぼうとすることを忘れたり、考えることを無くしてはいないかな?
ということは、自戒を込めて、
で、書きました。
さて、上記引用は、「人間」側の問題点の提示と怒りですが、一方の「タロイド」側も問題を抱えています。神様の問題。これを掘り下げて、ここで書くと生臭くなってしまうので書きませんが、この問題も著者(ホーガンさん)が懸念を抱き、提起したものだと思います。