けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 人間としての俺の声、夜想曲

電車内で聴いた。

東京ノクターン

東京ノクターン

電車内で泣きそうになった。
ノクターンという名が示すとおり穏やかなバラッドが続き、歌声をウッドベースが優しく支えている。久しぶりに聴いたんだけどいいなあ。そして歌詞に泣かされる。うまく言えないけれども。
SION。初期の代表曲に「俺の声」という曲がある。しかし上記アルバムにおける「俺の声」は「おまえの声、人間の声域を超越してるだろ?」くらいのしゃがれ声になっている。年々、渋くなっていき心配になるくらいだ。
このアルバム。福山雅治とのコラボが音楽世界の片隅で話題になる。SIONファンにとっては、正直、どうでも良いコラボだ。福山がSIONにあこがれ上京してメインストリームを歩み、待望のSIONとの競演を果たした。正直、ただそれだけのこと。いや、福山も嫌いじゃないけれども、男の私が惚れるほどではないな。
2ちゃんねるSIONスレッドが荒れた。

福山を使って売名するな!コバンザメ野郎は消えろ!

わたしの福山さんを持っていかないで!

誹謗中傷の嵐。持っていく、ってSIONは占いの人ではないんだけど。まあ、スレッド住民はおとなであり、まったく反応しなかったのですぐに収まった。
ここでいう「おとな」というのは2ちゃんねる用語でいうところの「おとな」ではなく、文字通り年齢層が高い「おとな」という意味(後述)。なにしろ次のようなやりとりがデフォルトだったし。

「仕事に疲れて部屋に帰り、SIONを聴きながらウイスキーのロックを転がすのが至福のひとときだ」
「お疲れ。飲みすぎるとSIONみたいな酒焼け声になるぞ」
「おれは声だけでなくSIONみたいな人間になりたいわ」

人間SIONは街外れを歩いてきた。何枚もアルバムを出したにも関わらず、そのほとんどが廃盤となってしまう。しかし、そのなかで唯一『夜しか泳げない』だけは連綿と発売され続けていた。楽曲「12号室」が収録されていることからレーベル関係者が断固として発売を敢行していたという。歌詞を聴こう。

http://www.i-kiyoshiro.com/mt/yumekamo_2/archives/000948.html

実話だという。なぜSIONが「ものすごくあたたか」な場所に居合わせたのか?彼の音楽、そして彼の人間を解く鍵はここにあるかもしれない。ちなみにWikipediaには記載されていない。彼のホームページのどこかに書いてある。YouTubeに「12号室」があるのには、正直、びっくりした。
昔、ライブに行った。
http://keroyan.exblog.jp/2920448/
SIONというと、観客のほとんどがチンピラ風情なんだろうな?そんなイメージがあるとの声も聞くが、先に述べたスレッドに代表されるように平均年齢30代後半の男が多かった。女性も多数いた。皆、静かに彼の歌を楽しんでいる。暴発する奴とかいなかったな。
小屋を出ると星空が白く輝いていた。狂ったように白かったぞ。そして、夜空を見上げてぼんやりと歩いていると、やくざ屋さんの肩に触れた。彼はマシンガントーキングを放射しながら、突っかかってきた。まあ、連れの人間が彼の肩を抑えて事なきを得たのだけど、SIONの余韻と星空に酔っていた私は、どうでも良いよと思っていたな。
それにしても、とてもきれいな星空だった。