けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 生活に向けて

半年ばかり、奈落の底をもがき、這いずり、生きてきた。いや、もがいたり、這いずったりさえしていなかった。日常の景色は霞んでいた。茫洋と夢見ることもなく、さりとて地に足をつけた生活もなかった。

息苦しいまでの怠惰もなく、粘膜質な惰性に、ただ流されて。そして、惰性の中から生活を窺うこともなく、ねっとりと澱む流れを直視することもない。堕落とさえいえず、誇ることなんかできやしない。

目をつぶって、体をこごめて、ひたすらになることなく、自らをやり過ごしていた。それは苦しいようでいて、痛みや悲しみはなく、無表情だった。

五感をそらしていた。季節が変わった。春の匂いは感じなかった。冷たい冬が終わり、青々しい春の訪れたが、それは冷たくもなく、青々しくもなかった。

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遅くなったけれども、春を訪ねてみよう。いや、生活しようと思った。