週刊「エコノミスト8/12・19合併号」。大見出しは「日本経済沈没」ということで、沈没へ向かう日本経済のシナリオが複数用意されています。「うん、これはアリだな!」とか、「うへー、トンデモじゃないのかな?」と考えさせられるリポートが盛りだくさんです。
そんな「沈没」話は、横に置いて、たばこ1000円説について小さく書かれていました。引用してみましょう。タイトルは、
ネットで聞きました:「たばこ1箱1000円」増税、どう思う?
というもので、調査期間:2008年6月27〜29日、調査対象:20〜69歳の1044人(男性521人、女性523人)という条件でネットで聞いたそうです。ネット調査にしては、随分と規模が小さく、世の中、「ネット!ネット!」言いながら、ネット特性を生かせていないものだなあ、という感想。
さておき、調査結果です。
ネットユーザーに「たばこ1箱1000円」案への賛否を聞いた(回答は1つ)。「賛成」「どちらかと言えば賛成」が70.4%と、「反対」「どちらかと言えば反対」の23.1%を大きく上回った。
(太字化は引用者)
うへぇー。賛成票大杉・・・。しかし、この数字は、
日本人の成人喫煙率23.8%(厚生労働省06年国民健康栄養調査)とほぼ見合う結果だ。
と書かれると、うーむ、納得です。ちょっと驚いたのは、成人喫煙率23.8%。約4人に1人が喫煙している?私は、10%台に落ち込んでいたと思っていました。
さて、このコラムには、税収の見通しも書かれていました。引用してみましょう。
製薬大手のファイザーの調査では1000円になれば約8割が「禁煙する」と回答している。過去のたばこ増税でも喫煙者が漸減し、税収は一時的にしか増えなかったため、財政赤字改善に効果があるのかという指摘がある。
なるほど。「喫煙者が漸減」して税収もウホウホとはいかなかったようですね。喫煙者である私は、「過去にウホウホしたから、今回もウホウホで、一気に1000円だ!」という状況(というかデータが示されていない「論調」ですね)だと、困る間もなく財布に打撃なので、やや安心しました。
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さて「たばこ1000円」論議については、国民の健康促進という面(大義かな?)を横におき、税収にのみ焦点を当ててみると、ラッファー曲線が頭を横切ります。
一説には、ラッファー曲線は、1970年代にワシントンのとあるレストランで、ラッファーとロバート・マンデルがジュード・ワニスキーに概念を説明している際にナプキンに描かれたのが最初であるという。(略)経済学的な証明を伴わないことから、疑似科学であると見なされている。そもそもラッファーは経済学者ではないため、彼の言動そのものが疑問視されている。ブードゥー経済学と揶揄されるのはそのためである。
いや、私が喫煙者だから、穿って考えているのかもしれませんが。
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さて、冒頭で紹介した今週の週刊エコノミスト。夏休みらしい「8/12・19合併号」ですが、「真夏に読む 古典・名著24冊」という特集もあり(まだ読んでいませんが)、蝉の声を聞きながら古典世界に浸りたくなりますよ。
新訳で刊行されています。
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