けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 ドラマ「クライマーズ・ハイ」

原作本は、天上天下の逆ギレ小説だと思ったのだけど、ドラマは映像化にふさわしい物語が出来上がっていた。しかし、逆ギレ→融和のお涙頂戴流れは相変わらずで、ちょっとげんなりしてしまった。というのは、強がりで、佐藤浩一を始めとする俳優陣が良い味を出していて、好感度のあるドラマ。

文字では表すことが出来ない熱度が、ベタではあるけれども、これでもか!と表現されていて、ドラマっていいなあ、と思った。原作における出来すぎの余韻をカットしたことも英断。

ただし、最後の谷川岳衝立岩正面岩壁で、色あせた主人公が力無く、諦めの境地に入り、父子愛に導かれてハングを乗り越す場面。うーん、これは物語としては必要なところなのだろうけれども、ちょっと幻滅。「魔女の宅急便」のラスト・シーンを思い出した。プロットとしてもだけど、トップを行く安西リンタロウ役の俳優の演技が下手すぎというのも一因。

あと、ここは大事なところだけど、「下りるために登る」というキーワード。これが原作本のいわば最大の謎であり、それが解き明かされることにより、読者はカタルシスを味わう。ところが、ドラマでは、その謎解きが為されない。原作は、サブ・ストーリーがテンコ盛りで、それが散漫な味を出してしまっていた。それに対して、ドラマは極力サブを削りながら、突き進む演出は良いのだけど、ここを外してしまっては、物語として成り立たない。ドラマはドラマとして独立したコンテンツと考えればよいのかな。

DVD皿に焼いて保存した。

参考:
■ドラマ「クライマーズ・ハイ」

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

クライマーズ・ハイ (文春文庫)