けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 同一著作が複数の出版社から刊行されることについて。

裂けて海峡 (新潮文庫)

裂けて海峡 (新潮文庫)

kanoseさんが書いている。
ARTIFACTはてな系-同内容の本が別々の出版社からKindle化される不思議
エントリの論点は2つあるようです。ひとつは同一著者による同内容の著作が、複数の出版社からkindleで刊行(という表現が適切であるかはともかく)されているということ。
2つ目は紙媒体における同内容の著作が複数出版社から刊行(事実上再刊)され、書名が変更されることがあるということ。
後者については、私もひどい目に遭いかけたし、みなさんもひどい目に遭うかもしれないのでこちらを中心に考えていきたいと思います。今回は同一著者による同内容の著作について考えていきたいと思います。
kindle化には、絶版本の再刊というビジネスモデルがあると思う。いやビジネスはどうでも良いのだが、各出版社がkindle化する本を物色するに際しては、絶版本がその大きな選択肢に入っているのではないだろうか。紙では読めませんよ。おや?kindleでは読めますね。買ってちょうだいなみたいな。
冒頭のkanoseさんのエントリでは、「百億の昼と千億の夜」がハヤカワと角川からkindle化されている例をあげ、出版契約がどうなっているのだろうという疑問符が打たれている。
当初、私は両出版社ともに紙媒体で刊行しているのだから問題ないんじゃないの?と思っていた。しかし同エントリで分析されている紙媒体における同書の刊行過程をみると、たしかに疑問が湧いてくる。
こういうことが当たり前になると大きな問題を知らずに踏み抜いてしまう危険性があろう。
けろやん。メモ-狼の記憶
「飢えて狼」そして「裂けて海峡」。本邦冒険小説の二大モニュメントである。
ここでは「裂けて海峡」について考える。当初は水色の背表紙の講談社文庫で文庫化刊行された。そして著者による「一部修正」が施されて新潮文庫で再刊。まあモニュメントが修正されたということで忠犬ハチ公像みたいなもんか。いや失礼か。
さて。この著作に関しては、講談社版に手を加えるという形で新潮社文庫版が再刊(厳密には再刊ではない)されたということで、kanoseさんのいう同一著者による同内容の著作にはあたらない。だから別に両方をkindle化してもいいんじゃない?ということになる。
しかし厄介なことは著者が修正を加えたということで、修正後版(ここでは新潮文庫版)が正本になっているという事実である。このように正本(おそらく)が存在する状況で講談社文庫版がkindle化されたら、それこそ出版契約はどうなっているのということになる。おもしろそうなので講談社は「裂けて海峡」をkindle化してください。
kindlekindle!うるさいのはやめて整理してみる。現在、後発の新潮文庫版が著者の修正を加えた正本となり、講談社文庫版はおそらく絶版になっている。
本題。私は流通していないオリジナル講談社文庫版「裂けて海峡」の方が優れていると思うんだよね。なにが違うか?参考を参照。
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長くなってしまって、2つ目の論点、すなわち同内容の著作が別のタイトルになって発刊(事実上の再刊)されるということに触れることができませんでした。冒頭に書きましたように、これはひどい目に遭う危険性もあり、こちらを中心に書こうとしたのですが・・・こちらについては後日書きたいと思っています。
「裂けて海峡」の講談社文庫版と新潮文庫版についてです。前者については10回近く読み直していますが、後者については1回だけしか読んでいません。これは新潮文庫版が良くないというわけではなく(たぶん)講談社文庫版が目になじんでいるからです。
またこのような読み方をしていることもあり、エントリ本文の締めの記述になりました。でも違いはというと非常に些細なものです。でも私はとても大切にしています。参考を参照してください。
志水辰夫「裂けて海峡」。みなさんも機会があったら読み比べてください。いや比べなくてもいいので読んでください。最高におもしろい小説ですよ。
(本稿以上)
同じ作品が、複数の出版社(文庫)から発売されている場合
「同内容の本が別々の出版社からKindle化される不思議」?
教えて!goo-同じシリーズで別の出版社から出版されるのはなぜか
志水辰夫『裂けて海峡』(新潮文庫)
Sex & Books & Football-志水辰夫「裂けて海峡」
ネタバレです。私が本文で叫んでいたのはこんなことだったのか!って笑ってください・・・。Amazonのレビューにも「詳細」が触れられています。