けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 一連の橋下徹問題について

将来、橋下徹という人間および彼の引き起こした騒動を振り返ることができるためにメモしておく。引用は私が内容咀嚼したもの。もちろん意図的な印象操作は行わないよう心掛けた。また太字化は引用者。
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ことの発端はこれ。

薔薇、または陽だまりの猫:大阪府知事選候補予定者、橋下徹の「ODA発言」/JANJANほか
橋下氏2003年10月5日、日本人団体による中国広東省珠海市での集団買春騒動に関して「日本人による買春は中国へのODA(政府開発援助)みたいなもの」と発言。
(2003年10月5日)

橋下は、このような思想信条を抱いている人間である。その彼が、

Wikipedia:日本維新の会
2008年1月27日:大阪府知事選で橋下当選
2011年11月27日:大阪市長選で橋下当選
2012年9月28日:日本維新の会結党

と着々と盤石な布陣を築き上げてきた。そして、彼及び彼の支持母体(たとえば日本維新の会)が異様なほどの速度で大衆の支持を受けてきたこと。陳腐な言い方であるがポピュリズムの見本であろう。このことに対しては、私たち有権者も責任の一翼を担っていよう。いや、責任と言ったら橋下たちに失礼か。
ODA発言のDNAは彼の思想信条らしく問題の発言を行う。

朝日新聞デジタル:慰安婦問題、風俗業をめぐる橋下氏の発言要旨(2013年5月13日の発言)
(1)(銃弾が飛び交う中走り回っている)精神的にも高ぶっている集団は、どこかで休息をさせてあげようと思ったら慰安婦制度は必要なのはこれは誰だってわかる
(2)沖縄の海兵隊普天間に行ったとき、司令官に「もっと風俗業を活用してほしい」と言った。

お茶の間は大騒ぎになる。国内においては、主として慰安婦発言に対してバッシングが巻き起こった。しかし、この側面に関しては、閣僚級の人物の失言と同じレベルではなかっただろうか?過去にはもっとひどい発言を行い閣僚の辞任に追い込まれた人間もいた。
問題は(2)。この発言に関しては賛否両論があったと思う。しかし、これはアメリカ、および在日駐留米軍に対して絶対に触れてはならない禁忌である。そんなアンタッチャブルの聖域に建前抜きの本音で突っ込んだ。
橋下発言の翌日、日本維新の会の共同代表を務める石原慎太郎

msn産経ニュース:石原慎太郎氏「軍と売春はつきもの」と擁護(5月14日)
軍と売春はつきもので、歴史の原理みたいなものだ。それを踏まえて発言したと思う。彼はそんなに間違ったことは言っていない」と述べ、問題はないとの認識を示した。

ここで、橋下問題を擁護する石原論陣が登場して橋下騒動に発展する。
その後、橋下はツイッターで、見えない自由が欲しくて見えない銃を打ちまくる(ブルーハーツ)ではなく、いわば実弾装填の機関銃を乱射する。そして、それは自由を希求したものではない。自らの主張を曲解するメディアへの反論が主であった(と思う*1
橋下騒動に一役買った石原も橋下をたしなめる。

47NEWS:橋下氏に「ツイッターやめたら」 石原共同代表が提案(5月19日)
石原慎太郎共同代表が「ツイッターをやめるべきだ。言いたいことがあれば論文にまとめればいいのではないか」と提案したことを明らかにした。

この発言は5月19日。慰安婦及び風俗利用発言から約一週間後。私がはてなブックマークコメントに、”「論文に・・・」ていうのは慎太郎の皮肉だよ”と記したところはてなスターがたくさん付いた。自慢するわけではなく、この時点における石原の橋下観は、皮肉でたしなめるほどに寛容だったと思う。
つづいて、橋下は所謂ぶら下がり取材に関して迷走を開始する。ぶら下がり拒否から一転して再開。この頃の橋下は精神的に不安定だったのかもしれない。なにしろ発信するツールが多すぎた。記者会見、ツイッター、ぶら下がり取材。混乱むべなるかなである。
ここからが怖ろしい展開になる。6月6日の橋下‐安倍(首相)会談。

しんぶん赤旗:オスプレイ 八尾受け入れを検討(6月6日)
橋下氏らは米海兵隊普天間基地沖縄県宜野湾市)に配備されている垂直離着陸機MV22オスプレイの飛行訓練の一部を八尾空港大阪府八尾市)に移転することを提案。

橋下は涙目になって駐留米軍に土下座して貢物を献上した。ここまでは涙の橋下問題。ところが、ここからが怖ろしい。自民党は上記橋下発言を受けて、

首相は小野寺五典防衛相に対し、同空港への移転が可能かどうか検討を指示しました。

首相は橋下にハンカチを差し出してしまったのだ。ハンカチとは首相が八尾市にオスプレイを配備することに対する検討の指示を出したこと。この時点で自民党は踏み絵、あるいは地雷を踏んだ。
ここで橋下騒動が終息したとしたら、自民党は大きな打撃を受けて盤石な政権基盤が揺らいだかもしれない。ちなみに、この当時の日本経済は自民党の思惑通り円安・株高が演出されていた。
オスプレイというタブー(爆弾)で自民党を取りこんだ橋下はさらに暴走する。

産経新聞:維新の公約原案 農協「解体」へ 自民との違い明確に(6月18日)
日本維新の会参院選に掲げる公約の原案が判明した。橋下らが掲げる「既得権と闘い、各市場に競争原理を導入して日本再生へつなげる」との基本理念を強く打ち出し、農業分野で「農協解体」の方向を明示した。自民党などとの違いを明確にさせて党勢回復を狙う構えだ。

取り込んだ自民党を突き放してしまう。自民党の大票田である農協に切り込んだのである。もちろん、極度に落ち込んだ日本維新の会の浮揚策であろう。確信犯的な基本理念を公表。
現在のところ対自民党との関係は、ここで打ち止めになっている。自民党とすれば、オスプレイ問題で味噌を付けたので安堵していることであろう。
次のステージ。維新の会内部の内ゲバ*2である。

朝日新聞デジタル:石原氏、橋下氏に「謝れ」 慰安婦発言めぐり釈明要求(6月19日)
日本維新の会石原慎太郎共同代表は18日の党国会議員団の役員会で、従軍慰安婦をめぐる発言で党への逆風を招いた橋下徹共同代表に対し、「責任者が招いた事態だから仲間に謝るべきだ」と謝罪を要求した。

「仲間に謝る」というのが微妙である。慰安婦および風俗「発言」を謝るならば、国および米国に謝らなければ筋が通らない。ただし「仲間」に対して「混乱を招いた」ことを謝るならば身内の話なので問題ない。それにしても仲間に謝るっておかしな話だ。

石原氏が役員会後に橋下氏に電話し、テレビカメラの前で釈明することを求めたが、橋下氏は「では、代表を辞めれば良いんですか」と反発。「(6月末の)執行役員会やツイッターで説明する」と拒否したという。

代表を辞めれば良いんですか?逆切れ。そして、彼は「テレビカメラの前の釈明」を実質的に拒否して*3ツイッターで説明すると主張する。ってどこまでツイッターなんだよ。

zakzak:慎太郎氏、橋下市長に「終わったね…この人」 維新“分裂危機”が加速(6月19日)
日本維新の会石原慎太郎共同代表が、共同代表である橋下徹大阪市長を見限った。(中略)橋下氏の慰安婦発言が党勢低迷を招いたことについて「大迷惑だ」と批判し、「(首相には)ダメだ」「終わったね…この人」とまで言い切ったのだ。

石原が大物に見える。いやいや、そんなことは全くない。なにしろ見限った対象が橋下だからだ。いわば見限ることによってスタートラインに立ったというところだろうか?
それにしても、

歴史観についても「徹底的に違うことはあいつが『あの戦争は侵略戦争だ』と言っていること。俺は『侵略じゃない。マッカーサーも防衛の戦争だって言ってるじゃないか』

石原の歴史観ってこんなんだったっけ?日本維新の会の共同代表として橋下に引きずられて、石原のブレが表出してしまった感じだ。良きにしろ悪しきにしろ、所謂「慎太郎」ブランドが棄損されていく気がする。

毎日jp:橋下徹氏:「戦況苦しくした」…維新候補に謝罪メール(6月21日)
日本維新の会橋下徹は20日、従軍慰安婦に関する自らの発言について、東京都議選や夏の参院選の候補者に対し、メールで「戦況を苦しくしてしまった点は申し訳ない」と謝罪した。

6月19日の「仲間に謝る」の真相が明らかになった。「戦況を苦しくしてしまった点」を謝るということだったのだ。すなわち、発言そのものを謝るのではなく「戦況を苦しくしてしまった」に対して謝るということだ。党内の混乱を謝るとほぼ同義であろう。まあ、この期に及んで発言そのものを謝れる情勢ではないから仕方がないのかもしれない。

朝日新聞デジタル:維新・橋下、石原両共同代表そろい踏み、関係修復を演出(6月22日)
橋下氏の発言で党への逆風を招いたことを批判した石原氏だが、この日は「舌禍事件を起こしたが、申し訳ないというメールを送ってくれたので気持ちは収まった」と強調。笑みを浮かべて握手も交わし、関係修復を演出した。

一連の橋下‐石原騒動はプロレスだったのだろうか?舌禍が売り物の両者である。ガチで対立しながらも、みずからの舌禍を反省して笑みを浮かべて握手なのだろうか?
そのように素直に考えることも可能だろう。しかし、そうだとすると舌禍を唯一の拠り所とする両者には致命的打撃だろう。舌禍劇場の終焉。まあ大した話ではないが。
この両者の対立構造。実際のところ都議会議員選を控えてのパフォーマンスだと思う。机の上で握手しながら机の下で蹴り合うみたいな。しかし蹴り合う靴は鉄板入りの安全靴
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現時点における橋下問題あるいは騒動はこんなところかな。

*1:このあたりは追いかけていなかったので正確には不明。

*2:あさま山荘事件に見られるように、内ゲバは外部の支持あるいは共感が低下したときに発生する。

*3:いるように思える。