人に飽いた。
私は孤高を気取り、我が道を逝く人間のはずなんだけど、その実、人を恋しくいとおしく思い、人一倍の寂しがり屋な人間。そんなことは、2ちゃんねるで絡んだ人や私のブログを読んでいる人にとっては自明なことだと思う。
でも人に飽いた。
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一昨日、里帰りした昔の友人と再会してごちゃごちゃ飲んで、別れた後、虚無感に襲われて行きつけの飲み屋に顔をだした。
ミステリさんが居て「これはすごいですよ!カラマーゾフのイワンが探偵をやるという話なんですよ!いいでしょ?」
彼が嬉しそうに差し出す本を軽く読んだんだけど「この分量で1500円って高くない?」「いやいや、この選評を読んでくださいよ!」江戸川乱歩賞受賞作なんだってさ。
- 作者: 高野史緒
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/08/02
- メディア: ハードカバー
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閉店になって店を追い出された後、虚無感に襲われて「鍵を亡くしたから泊めて」と言って、バイトの女の子も泊まる店のおばちゃんの部屋に行った。ラピュタの女海賊ドーラみたいにガァガァ眠るおばちゃんの横でバイトくんと話をした。
おたがい恋心もなにもないので、自然体で楽しく話せたよ。映像ではなくてシナリオを読んで想像力を拡げる話とか。で、彼女は大あぐら姿。
寝不足で疲れ果ててサッカー男子準決勝を斜めに観ながら眠りにおちた。顔面を血まみれにして走る韓国選手だけ覚えている。
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昨晩、東京湾岸花火を見た。なんと!目黒に在するホテルのルーフトップバルコニーから。こんなところをどうやって見つけ出してきたのか最後までわからなかった。
飲み放題3000円がショバ代なんだけど、風が抜けるルーフから遠くに眺める花火は気持ちよかった。ときに大輪が舞い、ときに線香花火みたいに切なくささやかだけど心の底を叩く花火。
前景の看板が「チョーうれしい!」くない。
花火を見るのも愉しかったけれども、日常を小さくも離れた人々の情景が心に残った。
他にも、タッパーに入れてきたおかずを突付きながら、静かに花火を観るカップルも居た。肩を抱いたり、身を寄せ合ったりしない。野辺の片隅でつつましく咲く小さくも幸せな花みたいだった。
やっぱり人が好き。
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駅までの遠い帰り道をガラガラ歩く連れたちがうっとおしく*2、逃げ出すように帰りたくなった。なんとか悪魔の渋谷で独りになり、ようやく気分が落ち着いた*3。
人に飽いた。
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部屋に戻ると注文していた本が届いていた。
- 作者: 鴨 長明,簗瀬 一雄
- 出版社/メーカー: 角川学芸出版
- 発売日: 2010/11/25
- メディア: 文庫
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無明長夜。