けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 みどり色の季節

「桜の咲く季節は嫌いだ」というシニカルな書き出しで始まる推理小説がある。

日曜の夜は出たくない (創元推理文庫―現代日本推理小説)

日曜の夜は出たくない (創元推理文庫―現代日本推理小説)

創元推理が立ち上げた連作短編集の名作*1。「連作短編集」という呼び方が正しいか不明なんだけれども、読者に短編を読ませながら最後にそれぞれの短編がつながって、一つの長編になるという 入れ子細工を思わせる物語。
私も桜の咲く季節は嫌いだ。なんというか絢爛豪華で派手派手しい光景(成金趣味っていうのかな?)が目に余る感じが嫌だ。また、見逃すわけにはいかない、という強迫観念を押し付けられているのも嫌だな。
私は新緑の季節が好きだ。朝露で輝く水々しさ。むせぶような匂い。そんな緑が頭上を覆う緑道を歩くのは最高だね。
桜の季節。ここ二三年の桜の季節に書いた日記は読みたくない。そんな新緑派の私でも、今年の桜はなんだか素敵に思える。
桜のアーチ。

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冒頭に掲げた倉知淳
過ぎ行く風はみどり色 (創元推理文庫)

過ぎ行く風はみどり色 (創元推理文庫)

緑色の長編も書いている。推理小説の範疇を超えた家族の物語で傑作。久しく読み返していないので新緑の季節に紐解いてみようと思う。

*1:ん?「創元推理」で思い出したけれども、「桜の季節は嫌いだ」は別の連作短編集だったかもしれない。