けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

圀府寺司「ゴッホ 日本の夢に懸けた芸術家 (角川文庫)

ゴッホ展、絶賛公開中。

ゴッホ展 こうして私はゴッホになった

私も見に行くつもりなので、予習がてら本屋の屋台に平積みされていた本を読んでみました。

なんと、文庫本です。しかし、絵がちっちぇーーー!と放り出すこと無かれ。たしかに絵がちっちぇーーー!のは事実ですが、時系列で作品を紹介しているコンパクトな本なのです。

ゴッホには、彼が記した膨大な書簡類が残っており、通常それら書簡類と彼の奇矯と合わせて理解されます。しかし、本書では、書簡類を各所に引用しながら、あくまで作品中心のアプローチを取っています。

ここまで前段。

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この本、なにしろ熱い!

「種まく人」の解説文を引用してみましょう。

<種まく人>
色彩の洪水!描かれているのは太陽、種まく人、畑。ただそれだけ。あとはただ、色彩の洪水。夏の日差しが強くなっていく6月中頃、ファン・ゴッホは念願の<種まく人>に取り組んだ。


色彩の洪水だ!、だって。このように熱くなりながら、「夏の日差しが云々の6月中頃、取り組んだ、という絵画の制作背景がさらりと語られます。

次に本書の副題になっている「日本の夢に懸けた芸術家」ということで、日本についても端々に触れられています。著者が引用しているゴッホの書簡を引用してみましょう。

まずこの土地が(フランス、アルル地方)空気の透明さと明るい色彩効果のためにぼくには日本のように美しく見えるということからはじめたい。水が風景の中でエメラルド色と豊かな青の色斑をなして、まるで浮世絵のなかで見るのと同じような感じだ。淡いオレンジ色の夕日が地面の色を青く見せる。華麗な黄色の太陽」

ゴッホさんは、ずいぶんと日本びいきだったみたいですね。この時代の有名作品は、下のラングロワ橋みたいです。


さて、文庫本というサイズなので、絵を鑑賞するというのではなく、有名画のバックグラウンドを知っておく、という読み方がいいですね。本書を上着の中に忍ばせてゴッホ展に行くのもよいかな、って思います。