けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 馳星周「不夜城」(角川文庫)

不夜城 (角川文庫)

不夜城 (角川文庫)

再読終了。

とにかく目が離せないジェットコースター小説。とくに、大団円に向かうスピード感は堪らない。それでいて、ある種の伏線を回収していくところは、お見事。ということで、プロットの構成は練りに練ったのだろうなあ、と感心した。

人物造型。短いエピソードを交えて、浮き彫りにして、現実感を膨らませていく手法が特徴かな。

そのエピソードが、暴力であったり、悲哀であったりするので、読者の読書脳に刷り込まれるので、持続的な人物造型になっている。しかし、それが破綻すると、一気に興ざめなので、難しい手法だと思うけれども、これまた見事にクリアしている。

あとは、歌舞伎町を中心とする中国人裏社会の暗闘を描くことによって、「ぴあ小説」となっている。「ぴあ小説」。時代、舞台の社会風俗を描いた小説という意味合い。例えば、夏目漱石三四郎」とか。

さて、本シリーズは、この後、二作出ているので、本巻に出てきた人物がどのように成長していくのかが、とても楽しみ。

冬の巣篭もりのお供にどうぞ!