図書館で借りてきた本。先日、読み終えた。購入していない本に限って、良作なんだから、困ってしまう。
- 作者: ポール・アルテ,平岡敦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/01/09
- メディア: 新書
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バラバラ死体、密室殺人、インド魔術
怪奇と論理の華麗なる二重奏
と書かれている。
本作のおもしろさは、異なる事件という「点」が、一つの流れに収束して「線」になるという作りこみにある。いわば、異なる謎が連結されたときのカタルシス。そして、その凝縮された謎を手短にまとめてしまう著者の力量には驚くと同時に、もう少しじっくりと書いても良かったのではないかな、とも思った。
また別の魅力をはらんでいる。引用してみよう。
「容疑者の有罪が、これほど明白に見える事件も初めてだ。だが容疑者の無実を、こんなにもはっきりと確信した事件もまた初めてだ。
という袋小路が、読者に提示される魅力。本格ミステリの魅力って、密室ものにしても、アリバイものにしても、きわめて基本的な謎、あるいは矛盾の間隙をついて解き明かしていくことだと思う。したがって、この矛盾がどう崩されていくのか?が魅力的。で、この解答のズラしが本書の白眉。
過去、アルテについては感想文を書いてきた。
http://d.hatena.ne.jp/kerodon/archive?word=%a5%a2%a5%eb%a5%c6
その中でも、本作は名品の位置付けじゃないかな。非常にシンプルな謎解きになっています。