読んだ。
平野啓一郎は、京大在学中に鮮烈なデビュー作「日蝕」で芥川賞を受賞したあと、ウェブ2.0のエバンジェリストの使いっ走りみたいなことをしていた人。茶髪のイケメン。
さておき。
まがりなりにも、本を読むことが好きな五十過ぎのおっさんが、いまさら読書の技法なんて・・・と上から目線になるんだけど、そこは謙虚に行かないとね。
また、速読については二三冊の本を(速読で)読んだり、ネット記事をよく見るけど、スロー・リーディングというのは、ほぼ初めてなので本書にチャレンジした次第。
著者は、まず速読について書いている。引用してみよう。
私は何冊かの「速読本」に目を通したが、それらは予期に反して、純粋に技術的内容を紹介するというより、一種の「自己啓発」を目的としているものだった。いずれの本も、私たちの「潜在能力」を強調し、中には、速読技術を習得することによって、「未来を前向きにとらえる力が増し、人生が充実してくる」だとか(以下略)。
(太字化は引用者、以下同)
隠し味にスピリチュアル成分入りでは困ってしまう。あと、著者は触れていないけど、コスパとかタイパの技法として紹介されることが多い速読。読書の仕方は人それぞれだから、一概に批判はできないけど、それだけだとつまらないね。
ちょっと横道に逸れたので、本題のスロー・リーディングについて。引用してみよう。
本当の読書は、単に表面的な知識で人を飾り立てるのではなく、内面から人を変え、思慮深さと賢明さとをもたらし、人間性に深みを与えるものである。そして何よりも、ゆっくり時間をかけさえすれば、読書は楽しい。(略)闇雲に活字を追うだけの貧しい読書から、味わい、考え、深く感じる豊かな読書へ。
この部分を読めただけでも、ブックオフで110円を払った価値があった。私は、こういう前向きな言葉が大好きなんだ(スピリチュアルとか言わないでね)。人間性に深みを与えるものである、ってイイね。
本書ではスロー・リーディングの対象(ジャンル)が明示されていない部分もあるので、そこを考えてみよう*1。
やっぱり良質な小説はスローしたいね。いわゆる古典文学。スローしすぎて眠くなっちゃいそうだけど、深く感じる豊かな読書へ、と行きたい。
一方、あふれかえる新書なんかは速読するのがいいのかもしれない。アルファブロガーの小飼弾氏は、一時間で4冊の新書を読んでいる(た?)とのこと。まあ、内容のある新書については、スローしたほうがいいかも。自分にとって新しい分野のものについてもね。
あふれかえると言えば、ネット記事もそうとうだ。こういう記事とか。
石丸伸二に狂気すら感じた!とな。こういう記事はファスト!ファスト!なんだろうけど、私は好きなので、ついついスローして行間まで読んでしまう(恥)*2。
あと、私は経済関係の記事が好きなんだけど、スローで読むことが多い。内容が難しいということもあるけど、好きだから自然にスローになっているのかな?
結論。なにもかもスロー・リーディングしていたら、時間がいくらあっても足りないので、自分なりに的を絞り込んで臨むことが大切だね。
(付記)
いまスロー・リーディング(という意識はなかったけど)しているのはこちらの本です。
最近発売になった中公文庫版の「カラマーゾフの兄弟」。江川卓氏の訳出です*3。江川氏は、独学でロシア語を学んだ!ということに畏敬を抱いでいるけど、それとは別に彼の訳出する会話文の諧謔が好きなのです。
新潮文庫の「悪霊」が彼の訳出。謎ときシリーズでも有名な人ですね。
そんなわけで、読書の秋冬だしゆっくりと読んでいこう。
(本稿以上)
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