けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 新井満「尋ね人の時間」(文春文庫):コンタクト with 男性機能

読んだ。

尋ね人の時間 (文春文庫)

尋ね人の時間 (文春文庫)

本年は、読んだ本についてチョコっとでもいいからブログに書いておこうと思っている。で最初の一冊が、一言で書けばポルノ小説であるよなあ、なこの本。
まずはメモ。収録されている「尋ね人の時間」は、初出が「文學界」1988年6月号で、同年に第99回芥川賞を受賞。
Wikipedia-新井満
私に関して。芥川賞を受賞した当時に兄から勧められて読んだのが初読で、その後何回か読み直した。覚えていたのは「一歩進んで、二歩退がる」というフレーズ。けっこう気に入っていた作品なんだけど、今回読みなおしてみると、冒頭に書いたようにポルノ小説だと思った次第。
一節を引用してみよう。男性機能が不能である男性と女子大生の会話。二人は出会って二回目の逢瀬(?)である。

「どうなさったの」と、たずねてくる。
神島は、今しがた自分が夢精したことを正直に告げた。
すると圭子の眼に一瞬、咎める光が走った。
「夢の中でなら、できるんですか」
「夢の中でしか、できないのだ」
苛立ちながら、神島が答えると、
「ひどい・・・・・・」
低い、けもののようなうめき声が圭子の唇から漏れた。それから両手で、自分の顔を覆った。

(´・ω・`)・・・
これだけではナンなんで別の箇所から引用。男性と精神科医のやりとりである。

「もしやあなたは、いつか自分が不能におちいるときを心の底で待ち望んでいたようなことはありませんか」
「まさか・・・・・・」
「もっとはっきりと言いましょうか。あなたには不能になってほっと胸を撫でおろしているようなところがある。やれやれ、これでようやくだれともかかわりを持たずに済ませられる。気が楽だ、とね」

こんな感じで男性機能がアイコンとなっている小説。