けろやん。メモ

はじめまして。こんにちは。

 又吉直樹「火花」(文芸春秋):それぞれの相方が鮮明であることについて。 

暑い日々は昨日がピークで、今日から涼しくなるようだとのことですね。いまも気持ちの良い風が窓から入ってきています。
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しばらく前に読みました。

火花

火花

ミーハーな私は又吉フィーバーで雑誌「文学界」が、長い歴史の中で初めて増刷を決めたときに、本屋に駈けつけて立読みしたものです。やっぱりミーハーな私は、芥川賞が決まった翌日に単行本の「火花」を買い付けました。
さて購入したものの読むのが苦痛でなんとか同書を読了したのだけど、足かけ3日間くらいかかったかな?他の読みたかった本に手を付けられず疲れた3日でした。
書評や批評は知らないんだけど、おそらく会話文が斬新(?)であるのであったよ的な評価が大きくあったと思います。いや本当に知らないんだけど。
で、私の感想はというと、漫才ネタの文字起こしが奇天烈につまらない。それが読んでる最中の苦痛、そして苦行的な文字追いに繋がったひとつのそして大きな原因だと思っています。
とはいえ読みどころはいくつかありました。主人公(弟子のほう)が相方(サブ人物)とやる最後の漫才場面。涙が出てきました。そして私が本を読み涙を流すのは泣かせどころのベタ場面。
私のような市井の本読み人間たちの多くは、ベタに泣くという嬉しさがあると思うんだけど、批評家の先生方たちはあまり評価してないだろうなあ。
さて読み終えてしばらく経って思ったこと。物語は主人公と師匠(?)で流れていくのだけど、どうにも人物造形(えらそうだけど)が映えない。映えているのは登場する女性たち。
いやそれ以上に一緒に漫才を行うそれぞれの相方の二人の姿。ほんの少ししか描かれていないのだけど映えている。そしてこれこそが読後の余韻(あくまで私にとっての)として響きました。
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さて、きのう町の本屋を覗いたら雑誌「文学界」が山盛りに盛ってありました。「火花」の全文はもちろんのこと、もうひとつの芥川賞受賞作の全文も掲載されていました。もちろん他の連載物も載っています。
これで1000円弱なので単行本「火花」(1200円)よりお得です。これから読もうという人はこちらを手に入れて読んでみるとよいと思います。私もそうしたかったです・・・。
(参考)
こちらの人もおめでとうですね!

いつか電池がきれるまで-第153回芥川賞を受賞した又吉直樹さんと、「もうひとりの受賞者」羽田圭介さんの話
僕はここ10年くらい、自分のブログのなかで芥川賞の選評の抄録をつくっているのですが、羽田圭介さんといえば、「ノミネートされるたびに、選評で山田詠美さんに身も蓋もないレベルに酷評される人」だと認識していたのです。